「喉」の症状に
心当たりのある方

のど(喉)の病気のイメージ
  • のどが痛む
  • のどに腫れがある
  • 咳や痰がよく出る
  • 痰に血が混じる
  • 嗄声(声がれ)
  • 飲み込みにくさがある
  • のどに違和感
  • いびきをかいている
  • 口内が痛む
  • 味がしない
  • ドライマウス
  • など

扁桃炎

扁桃(口蓋扁桃)は、のどの奥両側にあるリンパ組織のことを言います。細菌やウイルスなどの病原体を体内に侵入させない働きをしますが、この部分がこれらに感染することで炎症が起きている状態が扁桃炎です。のどや飲み込む際に強い痛みがみられるほか、口蓋扁桃に発赤や腫れ、白い苔のようなものも現れます。全身症状としては発熱や倦怠感、悪寒戦慄などの症状が出ます。これらの症状は1週間程度続くとされ、このような状態を急性扁桃炎と言います。なお扁桃の炎症を繰り返すと慢性扁桃炎と診断されます。

治療について
発熱や痛みについては、対症療法として消炎鎮痛薬を使用します。さらにのどの痛みから水分を取るのも困難になるので水分補給も欠かさないようにします。また発症の原因が細菌であれば抗菌薬を使用していきます。なお扁桃炎を繰り返している患者さまについては手術療法を選択し、扁桃を切除します。

上咽頭炎

咽頭は大きく、上咽頭、中咽頭、下咽頭に分類されます。上咽頭は頭蓋底から軟口蓋付近の咽頭部のことを言います。この部位で発症する炎症が上咽頭炎です。発症の原因としては細菌やウイルス等の病原体への感染をはじめ、疲労、ストレス、アレルギー性鼻炎などが挙げられます。主な症状は急激な咽頭の痛み、鼻水・鼻づまり、咳、発熱、頭痛、倦怠感などです。

治療について
発熱や痛みについては解熱鎮痛薬を使用していきます。また炎症が起きている部分に塩化亜鉛等の薬剤を直接塗布、あるいは擦過していくBスポット療法を行うこともあります。上記以外にも、のどを刺激から守るために喫煙や飲酒を控え、さらにうがいもこまめにして常にのどを清潔にすることも大切です。

味覚障害

味覚が減退する、味が分からなくなるという以外にも特定の味だけしない、本来の味とは違う味がするというケースも含まれるのが味覚障害です。発症の原因としては体内での亜鉛が不足している(亜鉛欠乏症)場合が最も多いとされ、そのほかにも薬剤(降圧薬、抗うつ薬、抗菌薬、抗がん薬 等)使用による影響、さらにストレスやうつなどによる心因性から引き起こされることもあります。また上記以外では新型コロナウイルスに感染したことによる後遺症としてみられることもあります。

治療について
亜鉛不足による味覚障害であれば、食事で亜鉛を摂取していくほか、内服薬で亜鉛を補充する治療を行います。薬剤の影響であれば、使用の中止や減薬するほか、全身疾患が原因であれば症状をコントロールできる治療を行っていきます。原因が特定できない場合は漢方薬を用いることもあります。

声帯ポリープ

粘膜上皮や粘膜固有層と声帯筋から構成され、発声の際の声帯振動に相応とされる構造をしている声帯の粘膜に発生した腫瘤が声帯ポリープです。原因としては声の酷使、上気道感染等による炎症、喫煙などが挙げられます。これらによって粘膜から出血し、血種などの形成が度々起こることでやがて腫瘤となって発症するようになります。この場合、どちらか片側の声帯膜様部に腫瘤(ポリープ)が現れるようになります。
主な症状ですが、ポリープによって声帯がしっかり閉じられなくなるので、声がかすれる(嗄声)ようになります。そのほか、喉の違和感、乾燥、痰が絡みやすいといったこともあります。

治療について
発症して間もなければ、声を出し過ぎない、禁煙に努めるなど安静にし、薬物療法としてステロイド薬の吸入、抗炎症薬を用いるなどの薬物療法で改善していくこともあります。これらの治療では改善効果がないと判断されると声帯ポリープを切除するための外科治療となります。内容としては全身麻酔による喉頭微細手術、局所麻酔下での喉頭内視鏡下手術があります。

Bスポット療法

Bスポット療法のイメージ

上咽頭擦過療法(EAT)とも呼ばれる治療法で、炎症などの症状がみられる上咽頭(頭蓋底~軟口蓋付近の咽頭部)に、綿棒を使って薬剤を直接塗布します。

Bスポットの「B」とは、鼻咽腔の頭文字「B」から取ったもので、上咽頭の範囲がBスポットにあたります。呼吸した空気は、上咽頭の突き当たりから直角に降りるように、中咽頭、下咽頭の方向に流れていきます。

上咽頭には免疫機能が集中し、炎症を起こしやすいという特徴があります。また、鼻から呼吸した際に細菌・ウイルスなどの病原体やホコリが付着しやすい部位でもあります。症状が長引くようになれば、後鼻漏(鼻水がのどに垂れていく)、のどに違和感、鼻づまり、咳、痰などがみられるようになります。このような上咽頭炎に対して有効とされているのがBスポット療法です。とくに慢性的とされる上咽頭炎については、抗生物質や抗菌薬を用いた薬物療法よりもBスポット療法が効果的とされています。

Bスポット療法は、以下のような症状に有効とされています。

  • のどに不快感がある
  • 鼻水がのどに落ちていく
  • のど風邪を何とかしたい
  • 声が出にくい、かすれる
  • 頭痛と肩こりに悩んでいる
  • 耳が詰まる感じがする
  • など
治療を受けられない方
ワーファリン(抗凝固薬)を常用されている方
治療について
  • 塩化亜鉛などの薬剤を染み込ませた細長い綿棒を、鼻もしくは口の中へ挿入し、上咽頭に塗布、擦過する方法です。
  • 治療時間は1分程度です。
  • 使用する薬剤の濃度は、炎症の程度によって調整いたします。
  • 炎症部位に触れるため、ヒリヒリした痛みや出血がみられることもありますが、時間の経過と共に緩和していきます。
  • 上咽頭の炎症による症状をできるだけ抑えていくことを目的としており、治療のサポートとして使われます。併せて根本的な治療も行うようにしてください。
治療後について
治療を終えてから半日程度は、血液を含む鼻水や痰が出ますが、次第にそのような症状は消えていきます。上咽頭の炎症が重い方は、治療後に皮膚に何らかの症状(アトピー性皮膚炎など)や、頭痛などがみられることも少なくありません。